投資家の本懐

FX、不動産投資、その他投資全般について

節税になりますよ、の本当の意味(不動産)

以前にもちらっと書いたはずだが、節税だけに焦点をあてて、しっかりと書いてみたい。

業者が言う節税ロジックには、正しいものとおかしなものの2種類がある。

おかしなロジック
この物件を持つと年間12万円ほど赤字になります。
でもこの赤字は、本業と損益通算されて、一部税金が還付されます。

これってまあつまり、毎月1万ぐらい赤字なわけです。
でも年末にそれが、一部だったりで返って来る。
本来、毎月7万の返済をして手に入れる物件が
実質、毎月5000円とかの手出しで買える。

え、ちょっと待って!
赤字なんですよ、それ。
そんなもの、投資じゃないです。

本来の節税
買う物件。
木造・築30年、価格4000万、利回り10%の物件。返済比率50%。
年間400万入って、返済で200万出ていく計算です。
だとすると、(諸経費は無視して)手残りの200万に、税金がかかるわけだけれど。

あなたが高所得者で、所得の税率が、住民税込みで50%だとしましょ。
で、法人ではなく、個人で物件を買うと。(当然だけどこれ絶対)
なら、建物価格を契約書に書いちゃえと。
はい、2800万を建物価格としましょう。

すると、この2800万は、4年で減価償却するので
年間700万の減価償却費があるわけです。

実質の手残りは毎年200万の黒字。
ここから減価償却費を引くので
200万ー700万 で、帳簿上500万の赤字とすることができて
これを本業の収入から引けるわけです。
税率を50%としたので、250万、払った税金が返ってくると仮定しましょう。
そうすると、手残りの200万の他に、税金が250万還付されるわけで
毎年450万ずつお金が貯まっていくわけです。

ただし、5年後、この物件を売るとしましょう。
4000万円で買った物件ではありますが、2800万円を減価償却しているので
買値は1200万になります。
これを4000万で売ると仮定すれば2800万が利益となり
長期保有の期間の条件を満たしていれば、700万程度の税金を取られるわけです。

戻ってきた税金が250万×4年で1000万
売却時に払う税金が700万
差し引き300万の得で、まるまる1000万得をするわけじゃないです。
ま、あくまで、本業の収入の税率が高いから得出来るわけですが…。

じゃあかなりの高所得者じゃなければメリットが無いのか?
いえ、物件を買い増したいという意欲があれば、そこそこ高収入でも、メリットが無くはないです。

家賃と税金の還付、それに本業から貯金をして、売却より前に物件を買い増しさえ出来ればメリットは得られます。
減価償却が4年では短すぎるなら、鉄骨等なら償却年数が伸びますし
その間に、家賃を貯めて、しっかり貯金をして…。
後で払うお金を先に貰って、払う前にレバレッジをかけてしまえばいいんです。
なので、もう一棟、二棟と買い増しする意思がある人じゃないと
メリットを受けにくいんですね。

で、前回の話にも繋がりますが
家賃は、主に下に、ブレます。
退去があったり想定外の修繕があったり。
でも税金の還付は、ほぼブレません。
(本業の給与が急に下がったり、クビになれば別ですが)
だから、手残りはとらぬたぬき…ですが、還付はけっこう見通しを立てやすいです。

で、ですね…。
節税になりますよーって、区分の業者が良く言うんですよねえ。
実際、区分なんてほぼ建物なんで、赤字でも、しっかり減価償却も取れば
わりと還付はされます。
でもそれって、不動産の利益じゃないですよねー。

一方で「節税」を否定する人は、そもそも区分業者とかも嫌いなのでしょう、
節税という言葉を、いっしょくたに否定しがちです。
税金の還付なんて結局、赤字になってる物件をごまかすものでしかないと…。
上手に使えば、武器にもなるんですがねえ。

まあね、ブログでもYoutubeでも、尺ってあるから
還付を目指すにも二通りの考え方があってねえとか言ってたら
言いたいことにたどり着く前に終わっちゃいます。
それと、そもそもが築浅を推したい人らからすると
短期間で減価償却を取るなら築古じゃなきゃいけないわけで
そこが面白くないと。
わかるけど、築古は築古で問題もあるんだから、考えに合わないんで
触れたくないと…。

あとね、銀行さん。
手残りはあるけど、減価償却を引いたら赤字です。というのを
赤字とだけ見るところも、少なくとも以前はあったり。
うっせーな、脱税以外で現金が正当に貯まっていってんだからいいじゃんよー。
いや、帳簿上たしかに赤字ですが。
ま、ボクはそういうところもあって、トラストがわりと好きなんですが。

いずれにせよ、減価償却→還付の考え方は、それ自体、刺さる層には刺さる手法なはずです。
なのになんとなく、否定的な見られ方をされがちなんですよねえ…。