投資家の本懐

FX、不動産投資、その他投資全般について

丁寧に、日銀が金利を上げるとどうなるかを説明(FX)

考えてみると、金利について、ボクを含めてわかりやすく
丁寧に書かれてるモノが少ないのではないか?
周りはわからないが、少なくともボクは書いていないのではないか?
じゃあ書こう。
気は進まないが…。

大まかにこれまで日銀がやったこと。
・マイナス金利
・株を買った
国債を買った
この3つです。

まずはマイナス金利とやらについて
ま、何がマイナスなのかは、以前に書いた気はするが、
そこは置いといて、金利を0にした と考えればわかりやすいかと。
実際、マイナス金利って言っても、ボクらが銀行にお金を預けて
利息取られてるわけじゃないもんねー。
で、これをぼちぼちプラス金利にしょうぜって話が出てるのが今なんだけど、
その話の前に、先に他の点について。

日銀は株を買った。
ええ、大量に買いました。それが何か?
落ちたらどうするの?
暴落して、日銀が経済的に破綻したら?
いやそれ以前に、日銀がそんなに株を買うのっておかしくね?


はい、これがまず問題。

日銀がそんな風に株を買い支えるのって
市場原理からしてどうなの?
ええ、たしかに気持ち悪いですね。
でも、買わないでだらだらと落ちる悪影響より良いじゃないか?
まあたしかに。
この、「なんか気持ち悪い」問題が2点目。

国債を買った(過去形じゃない方がいい?)
これもまた、生理的に「気持ちが悪い」です。

じゃあこの「生理的な気持ち悪さって何?」

はい。
お札って「日本銀行券」でしょ。
日本円って(お札は)日銀が刷ってるんでしょ。
じゃ、日銀が赤字になったら、自分の為にいくらでもお金を刷れちゃうよね?

もちろん日銀は、「そんなことするわけがない」です。
でも、それが出来る、出来てしまうのって、おかしくないですか?
そこが気持ち悪さの正体ですねえ。
株にしてもそう。
自分のとこで刷ったお金で、株を買い支えるって、気持ち悪いでしょ?
ま、簡単に言うと、ですが。

さて、じゃあまず株から。
株を持ちすぎてるから気持ちが悪い。
個人なら、さっさと売ればいいんですが
日銀が持っている株は、売れません。
あまりにも大きすぎるから、こんなものを市場に出せば
簡単に暴落してしまいます。
じゃ、ほんの少しずつ売ろうよ…とは
まあたしかに常識的にはそうなるかもしれませんが
あまりに膨大で、少しずつ売って、持ちすぎている状態を解消するのは
実際不可能に近い(年月がかかる)と。

たとえば、日銀がトヨタの株の20%を持ってるとしましょ。
大きな影響がない売り方って、たとえば毎年0.1%ずつ売るとして
全部売るのに200年かかるわけですよ。

もう長すぎて、判断不能です。
かといって、一気に市場に出すのは論外ですから、
どうしたらいいか、わからないわけです。
そもそもそんなになるまで買うなよと?
ええ、それはもっともなんだけど
もし買わなかったら買わなかったで、大きな問題が起きる可能性があったわけで。
だから買ったわけです。
(まあこの辺、日銀を擁護するつもりはあまり無いですけど)

国債はその点は簡単。
償還するまで持ちます。
はい、日銀もそう言っている。
10年でも20年でも持っていれば、最終的に
元金が返って来るから問題ないと。
まあこの辺、ボクのスタンスは、
「たしかに問題はないが、大問題になる可能性もあるよね?」と。
どういうこと?


はい、全ては、0金利をやめて、プラス金利にしたときに
一気に起きる可能性があるわけです。

金利を上げたらどうなる?

まず、普通に考えて株が下落します。
株は、長期で見れば、上がるはず。
配当も得られるはず。
でも短期では損をすることも、もちろんあります。
一方で預金は、元本保証です。
これの利子が、多少上がったら?
株を売って、より安全な銀行預金にしよう という動機になる。
市場は過剰に反応するので、「金利が上がれば株が下がる」は
常識として考えられて、「じゃ、株を売ろう」となりかねない。
ここは、「なりかねない」「なりそうだ」レベルです。
天気予報で言うところの、明日は雨でしょう。です。

でも、日銀が金利を上げたら、「絶対に円は上がります」
どこまで上がるかはわからないですが、上がります。

じゃ、日本株を買っている外国人は?

絶対に売ります。
1ドル150円から140円、130円になるにつれて
どん、どん、と売りが出てくる。
外国人投資家が
「モウカッタ。ソロソロ ウルカ?」と思ったときに売られます。
それがいつかはわかりませんが、間違いなく。
こちらは、「雨が降るでしょう」ではなく、「ほぼ間違いありません」です。

と、ここでもうひとつの問題が。
わかりやすい例は、住宅ローン破綻。
金利が上がったら、もう払えない、という人も出てくるでしょう。
これと同じことが、多くの企業でも起こります。
金利が安いから、ギリギリなんとかなっていた レベルの会社は、倒産します。
どのレベルまでがやばいか? は、政府がどういう助け船を出すか?
にもかかってくるとは思いますが、潰れる会社は潰れます。
一時的かもしれませんが、失業率も上がるでしょうし
「なんか、景気悪くなってね?」という実感も出るでしょう。
これが、さらに株価を押し下げるわけです。


で…です。
日銀が大量に株を持っていると言いましたよね。
簡単には売れないとも。
これがもし、買値を下回ったら?
日銀は「含み損を抱えている投資家」状態で
債務超過になってしまいますね。

国債も同様です。
持ち切るから良いんだけど、含み損は含み損です。

そこでです。
海外の投資家から見れば
「赤字の中央銀行が発行してる円ってやばいんじゃね?」と考えます。

これは、海外の投資家からすると、好機です。
円を売りあびせてしまえ…と。
いやまさか、そんなこと、起きるはずがない。
という考えは、平和ボケです。

ポンドだって売られましたよ
アジア通貨も売られました
円だって売られるのでは?

日銀はもちろん、保有するドルを売って、これに対抗するでしょう。
過去、日銀は、以前書いたような、
「神々の戦い」で負けたことがありません。
このような戦いでは、ドル保有量の規模がバカでかい日銀は
「不沈空母」と考えられています。
でも、圧倒的な量の敵が、短期で集まれば…
沈むかもしれない。

敵がどれだけ集まるかは
「日銀がどれだけ含み損を持っているか」にも影響されると思います。

あいつ、あんなに含み損持ってるんだから、中央銀行としておかしいだろ。
あんなところが発行している円なんて、信用出来ない。
「日銀変だ」という大義の旗に、どれだけの賛同者が集まるか、ですね。

この理論に、どれだけ海外勢が賛同するか?
それに対して、日銀は不沈空母である という神話が、どれだけ影響するか?

一旦は円高が進んで、ある程度、日銀の含み損が増えていって
多くの人が「あれ? やばくね?」と疑念を持ったとき
一気に、短期間で円が紙切れになる…。

いや、結果がどうなるか以前に、そういう戦いが起きれば
それは日銀の失策なわけです。
短期で色々なレートが急変動するわけだから

「金融の安定」を守れなかったことになるわけです。


そんなシナリオにならないように、というのが、今の日銀の考え。
大丈夫、植田さん、丁寧だから…。
と思ってはいるんですが
外野の、さっさと金利を上げて、円安をどうにかしろの声がうざいなあと。
その声に逆らうのが辛くなって、どこかで手を誤らないといいなと。

思うに、これってさー。
将棋の対局ってあるじゃないですか。名人戦とかさ。
あの対局をしてる部屋で、当人らに聞こえるように
解説をしてる人がいるのと同じ状態ですよね。
「うるさいだろうから、適当なところで少し、音量下げようや」と。
そう思うのは、ボクだけだろうか?