投資家の本懐

FX、不動産投資、その他投資全般について

不動産投資の嘘

FXについて色々書きたいことや
書くべきことはあるのだけれど、
今日は、ボクのもうひとつのお仕事、不動産投資について書いてみたい。

「人口が減るのに、不動産投資をしても仕方がない。」
これはよく聞く不動産投資への批判。
そしてこれの返歌が
「人口が減るのだから、あらゆる産業の需要が減る。そんなことを言い出したら
ラーメン店でも服屋でも、何をやっても仕方がないことになるではないか?」

さて、これはどちらが正しいか?

この場合、具体的な数値に落とし込んで考えてみるとわかる。

A市 現在人口1万人、10年後 8000人推定

今、A市にラーメン店が100軒あるとしよう。
毎日10人がラーメンを食べに来るとする。
(この客数で、経営が成り立つかは置いといてくださいな)

10年後、計算上の1日の来客数は8人?
いいえ。
この場合、ラーメン店も減ると考えるべきかと。
単純計算なら、100軒あるラーメン店は80軒に減ります。
だって、経営者も住民同様に亡くなってしまうから。
まあ、うまく継承者を見つけて存続する店もあるでしょうから
実際、この計算ほど減るとは限りません。
でも減ります。

さらに服を作る工場について、考えてみます。
この町には大きな工場が1軒あり、住民の服は全て、ここで作られるとしましょう。
(そんな街あるわけがない、などの感想は、やはり置いといてください)
この工場では、100人が働いています。
さて10年後…。
この工場の労働者数は80人ぐらい?
いいえ、少子化だけを考えないでください。
現在少子「高齢化」です。
老人が増えて、労働可能な人口は、人口の減り方以上に減るんです。

ここで、A市について補足してみましょう。
A市の若者の数
現在 8000人 10年後 4000人 としてみましょう。
(ずいぶん減るなあ)
ざっと考えると、働ける人の数が半分になるのだから
労働者の数は50人…いやいや、実際もうちょっと増えるとして
60人とか?
まあここでは50人と仮定しましょう(計算しやすい数なので)
あれ? 労働者一人あたりの生産額、増えません?
もしこのとき、全市の服をここで生産しているとすると…ですが。

仮にこの工場の利益が年、1億円としましょう。
10年後、物価変動などの諸条件を無視して計算すると、利益は8000万円です。
100人で働いて1億円の利益  1人当たり100万円
50人で働いて8000万円の利益 1人当たり160万円

あれ?ワンチャン、給与上がるんじゃね?
実際どうでしょうねえ、まあ上がる可能性はありますねえ。

対するに不動産投資

今、この市には、100軒のアパートがあるとします。
10年後…アパート自体は、ほぼ減りません。
まあ一部は老朽化で壊されるでしょうけど
丁寧に手直しをすれば、木造では50年程度なら持ちます。
10年ではそうそう減りはしません。
じゃあ、経営者は?
経営者自体は減ります。
ただ、ラーメン店のように、経営・維持に特別な能力は必要ありませんから
物件がある以上、多くは引き継がれます。
子供等に引き継がれない物は、他の経営者が買うなどで引き継がれます。
仮に1割減って、90軒になったとしましょう。
あれ???

人口1万人に100軒だったのが、8000人で90軒?
これ、1軒当たりの住民の数、減ってますよね。
はい、これが正解です。(だと思います)

人口が減る中で不動産投資をすれば、将来的に不利になる可能性が高いです。
(他の業種と比べて、明らかに)

アパート経営ってさあ、一人で2つでも3つでも、10でも100でも
持とうとすれば持てちゃいます。
アパート自体があまり減らなければ、そこに住む住民の割合は減るわけです。
(つまりは、空室率は増えます)

いやいや、所有者ってか、経営者は、80人かそこらまで減るんでしょ?
なら、概ね、一人の所有者が貰える総家賃収入は変わらないよね?

これまたいいえです。
ほとんどのアパートは、融資を受けて建てられています。
だから、所有者一人当たりの総家賃で考えるのではなく
アパート1軒当たり、いくら入るかで考えなければならない…とすると?


仮に、家賃として1軒200万入り、返済が100万とします。
人口だけでそのまま計算すると、家賃は160万ですが
老朽化で取り壊される物なども考慮し、180万としましょうか?
返済比率で見ると、50%だったものが60%かそこらに
手残りを見ると、100万だったのが80万に減ります。
もし取り壊される、あるいは放置されるアパートが少なければ
最小60万まで手残りは減ります。
さらに困ったことに、所得税の計算では返済の利息分しか経費に出来ません。
元金の返済分は利益に含まれるので、100万円返済していて、まあ仮に
利息分が50万だとすると、利益は130万円出たことになります。
所得税が仮に40万とすると…もういくら残るのこれ?
さらに、どっかが壊れたら修繕費とかもかかること、ありますよね。
もう赤字ギリギリになっちゃう可能性すらありそうです。

 

一見すると、「なるほど」と思うような意見も
よーくみてみると、色々とほころびがあったりします。
この部分、FXでもなんでも一緒です。
きれいなバラには思わぬトゲがあるわけです。

それにしても…
不動産投資って、他の業種以上に、人口減をもろかぶりする可能性があるんですね。
だから、安易に不動産投資なんてしちゃダメだよ…というのが、今日の結論。
ちゃんと先を見据えて、どうするか考えないといけないねー と。