投資家の本懐

FX、不動産投資、その他投資全般について

問題の根っこはどこにあるのか

アメリカの現状はもやっと見えてはいるが、そもそも何が原因で
このような事態になってしまったのか?

ボクはやはり、サブプライムリーマンショック時にあると考えている。
サブプライムローンは他のモノと混ぜ物にされて証券化され、世界中に売られた。
その混合のされ方は巧妙だった為、何が安全なのか
サブプライムローンが混ざっていない証券がどれなのか、誰も即答できなくなってしまった。

ちょっと想像していてほしい。
今、我々が使っている円に、数割のニセ札が混ざっているとしたら?
そのニセ札は、本物と容易に区別がつかない。
だが、数年後にはそのニセ札は、印刷が消えてただの紙になってしまうとしたら?
皆さんが普段貰っている給与が、流通している紙幣が、硬貨がニセモノかもしれない。
それでも皆さんは、平然と円で給与を貰い続けるだろうか?
ある日突然それは、たぬきに化かされたかのように、木の葉になってしまうかもしれないというのに…。

FRBは直接はこの証券を買い集めることはしなかった。
代わりに各国の中央銀行等と連携し、お金をバラまくことで収集を計った。
「破綻しそうになったところには、融資をすればいい」という考えである。

当時、「ヘリコプターマネー」とも言われるほど、ドルを巻いたわけである。
当然ながら、お金を巻けば、たしかに当面は解決されたようにも見えるが
いずれこれが、インフレの原因となる。
そうならない為には、巻いたお金をどこかで回収していかなければならない。

サブプライムから数年後、ちょうど回収→景気悪化→金利引き下げという
局面で起きたのが、コロナなわけだ。
結局ここでもまた、「お金をバラまく」ことになった。
コロナショックは世界的に例を見ない事例だったので、何もしないわけにはいかない。
まあ仕方がないとはいえ、サブプライムで巻いたお金を
景気の動向を見ながら回収しなければ…という流れの中で、再びお金を巻いた。

これにより、市中に余ったお金が、インフレの圧力となった…というのがボクの考え。
コロナ後、物価が上昇した際も、
「お金が余っている」から物価が上昇しているのか
「製品が足りない」から物価が上昇しているのか、の見極めが難しかった。
コロナで生産が落ちたから物価が上がっている…当初はそういった意見も多かったわけで。
ただ、今だから言えることとして、実際、単に商品が不足していただけではなく
たしかにお金も余っていたわけだ。

で、FRBは慌てて利上げをした。
まさに、慌てて利上げをしたとしか言いようがない。
そして…今に至る。

サブプライム~コロナショックという一連の流れに不幸があった。
うん、たしかに。
サブプライムで銀行やら企業やらにお金を巻き
コロナでは市民に直接お金を巻くこととなった。
これらはまあ、仕方がないことなのだが
このときお金を巻いたツケが、インフレとなって表れてきたわけだ。

この利上げが急すぎたから、さらに問題が起きたのだと
これから問題が起きるのだと、ボクは考えている。

経済を患者に例えてみよう。
サブプライム当時、栄養価の極めて高いモノを投与しなければならなかった。
その投与のおかげで、なんとか生き延びはしたが、
当然体がぶくぶくに太ってしまった。
ダイエットしなければ、とゴニョニョしているところで
コロナで再び、栄養価の高い薬を投与した。
結果、急激に太りだした為

断食をさせることにした。

いや、断食はアカンでしょうと。
痩せる必要があるのはわかるが、長期間断食させたら死んじゃうよ?と。
結果、とりあえず痩せたは痩せた、ようだが
今、体の各器官には、必要な栄養が全然届いていないよと。
「ああ痩せた、成功だ」なんて言ってるけど
あちこち壊死してないかい? と。
これからそれが、症状として表れるんじゃないかい? と。
あまりにも急に、食事量を減らしすぎたんじゃないかい? と。

あくまでこれは、ボクがそう感じているだけであって
実際、問題なく推移するのかもしれない。
ボクが絶対に正しいなどと主張するつもりはないし
実際、症状が出ても致命的にはならず、対処療法でどうにかなるかもしれない。
ただ、どちらかというと、ボクは、一気に悪化しそうだと見ている。

ただね、前回のエントリーについて、少し反省もしました。
前回ボクは、商用不動産を混ぜ物にして証券化して流通させていることを
さも悪いことのように言ったが、それは結果論だ。
過去50年程度見ても、アメリカで商用の、オフィスが余り
空室が目立つようになったことなど、一度もないわけで。
サブプライムとの一番の違いは、
「きちんと回る商品だと信じたから混ぜた」
「安全だと思ったから」という点だろう。
その判断を、結果から見て責めるのは、お門違いだったと、
そう思い直したわけで。

そもそもこれほどテレワーク等が一般化する状態を
コロナ前に予期するのは、不可能だったはず。
技術の発展により、テレワークが生まれたというだけなら
これほど急な流れにはならなかっただろうし、それなら
状況に合わせて対応を考える猶予もあっただろう。


でもまあここも、起きたことは起きたこと。
それはボクが考える、「市場とは正解である」という考えに通じる。
理不尽だろうが、過激過ぎだろうが、起きたことは起きたことで
我々はただそれを受け入れて、対処していかなければならない。

さて、今アメリカで再び、CPIが上昇しそうな気配が見えているのは
何が原因だろうか?
中東が原因で流通にコストがかかった為だとすれば
それは、利上げだの利下げだので対処し得る問題だろうか?
あるいはまだ、アメリカ国内では、余分なお金が残っているのか?


ボクは地政学的リスクが原因なんじゃないかなあ、と考えているし
まあFRBも、今年3回利下げ、という大筋は変えていない。
おそらく、ボクに近い考えなのかなあ? とも思いはするが
はたしてそこも、どちらが正しいとか、現時点で確証がある人は誰もいないだろう。
ただ、時間が経てばわかることなので、そのときに
「あの判断は間違いだった」とかしこぶって責めればいいのだ。

もうそういうの、やめようやと。
後になってから「ほらみろ、言わんこっちゃない」としたり顔で
他人を責めるのは、ちょっと卑劣だろう。
だから、ボクも申し訳なかったと思い直したわけです。
CLOだって、そんなひどいモノだと思わずに、普通に調合された物だと
考えるのが自然だろうと。
ま、アスペストみたいなモノかねえ。
(あれはあれで、流通を止めるのが遅すぎたのでは等もあるけど、元々は
良かれと思って作られたモノなわけで)

まあもし今回ハードランディングしてしまうとしたら、
その原因はおそらく、利上げが急すぎたことなのだろうが
逆に、これほど急に利上げをしなければ、それはそれで別の症状が
表面化したかもしれない。
ほんま、中央銀行の総裁って、難しくてめんどくさい仕事だなあ…。

過去のことは良いから、未来予測を書いてくれ、そう言われそうなので簡潔に。
ボクは今年の秋から冬にかけて、あるいは来年の春からか?
大きな不況が起きると考えています。
で、ボクは株ではなくFXが主戦場なのですが
このときドルが落ちるかどうかはわかりません。
(ボクは一旦、そこそこ下落するとは考えてますが)

このとき、不況がアメリカの問題となるか、世界全体の問題に波及するか
それによって結果が変わって来るでしょうし
もしかするとFRBはまた、事態を収拾する為に、大規模な資金を
注入するかもしれない。
そうなると、延命器具で無理やり生かされる形で、問題を先送り出来てしまうかもしれない。
決定的な問題として、日本はもうアメリカのようには金利を上げられない状況なので
長期的に見れば円安に進むのは必然です。
ただ、ボクがそう言い続けてから、円安になるまで20年かかったわけで
今後も、「いつ」どうなるかはわかりません。
ただ、あくまでボクの考えでは、たとえ一時的に円高に進むとしても
それは数年単位のことで、再び円安に進むことになるんだろうなあと。
そんな感じですかねえ。